後藤 慎吾

UPDATE
2022.04.11

その他

M&A

昨年夏から売主側のアドバイザーとして関与したM&A(企業の合併・買収)の案件が、先月、クロージング(決済)を迎えた。九州であった調印・決済式に立ち合い、関係者とプロジェクト成功の喜びを分かち合った。

 

私にとってM&Aは弁護士登録以来注力してきた分野の一つだ。

 

M&Aは、①秘密保持契約書の締結、②初期調査、③基本合意書の締結、④デューディリジェンス(企業価値調査)、⑤M&Aの障壁となる課題の解決、⑥株式譲渡契約等のM&A契約の締結、⑦クロージングという一連のプロセスを経て結実する長期のプロジェクトであり、弁護士は、いずれのプロセスにおいても、依頼者の最善の利益のために行動することが求められる。

 

また、弁護士は、例えば、デューディリジェンスにおいて、法的な観点から対象会社の問題点を検証し、また、株式譲渡契約等の交渉や検討の場面では、依頼者が契約に基づいてどのような法的責任を負うのかを分析することとなるが、それらの分析を行う前提として、対象会社のビジネスを深く知ることが重要である。対象会社の競争力の源泉は何か、業界の慣行はどのようなものかといった事柄について理解していなければ、法的な分析も見当違いなものとなり、交渉での自らの発言の説得力にも影響が生じる。これまで様々な業界のM&Aに関与してきたが、それぞれの案件に関与する過程で、自分が知らない世界に触れることができる点もM&A案件を取り扱う醍醐味だ。

 

M&Aは、それ自体が目的なのではなく、会社が存続し、成長するための手段にすぎない。買収の対象となる会社にとっては、M&Aは通過点に過ぎず、それを糧として今後どのように成長していくかが問われることになる。今回関与した案件の対象会社も、M&Aを契機として、さらに成長を加速していってくれることを願っている。

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