荒巻 慶士

UPDATE
2021.11.12

その他

亡くなった方たちとの出会い

 相続財産管理人の仕事を始めて10年以上になる。家庭裁判所は、原則として利害関係のない第三者を選任するから、管理する財産の持ち主とは、亡くなってからの出会いとなる。これまでにこうして出会った方たちは何十人になるだろうか。

 

 相続財産管理人の選任を求めるのは、亡くなった被相続人の債権者や被相続人の財産を現に管理している者などの利害関係者だ。法定相続人がいなかったり、いたとしてもみな相続放棄をしたりして、相続人が不存在である場合に選任される。

 管理人は、被相続人の財産の有無・内容を調査し、その債権は回収し、財産は売却するなど換価して、管理・処分の上、債権者に弁済するといった仕事をする。

 

 自宅を遺して亡くなった方については、主を失った部屋に立ち入らせてもらうことになる。過去数十年に及ぶような公共料金の領収書類が整然と収納されているのを見つけ、几帳面な人柄に触れたり、楽器やカメラ、書籍などによりその趣味が窺われることも多い。

 家族のアルバムや親しい間柄の方からと思われる手紙にしばし見入り、生前の元気な姿が偲ばれて、しんみりすることもある。

 

 職務としては、経済的な側面を処理すれば足りるわけだが、室内に遺骨が残されていたり、位牌や仏壇が置かれていることも。そのような場合には、菩提寺に納骨、供養したり、墓じまいをしたり、お焚き上げを依頼することもある。

 会ったことのない方々だが、寄り添う気持ちを持って仕事を進めるように心がけている。もっとも、見ず知らずの弁護士の心配りも行き届かないことだろう。本人もどこかで、思わぬ死後の展開に意外な思いをしているのではないか。遺言書の作成など、「終活」をお勧めしたいところではある。

 

後藤 慎吾

UPDATE
2021.10.14

その他

本を書く

先月、出版社から、私が執筆した書籍「適格機関投資家等特例業務の実務」が増刷されたと連絡を受けた。以前1度増刷されているので、今回が第3刷ということになる。上梓してから4年以上が経つが、今でも買い求めてくれる方がいるのは正直うれしい。

 

今、新しい本を書いている。書き始めたのは今からちょうど2年前のことだ。出版社の当時の企画書を見ると、本来であれば今年の春に出版されることになっているのに、いまだに終わっていない。何度も締め切りを延ばしてもらい、編集者には迷惑をかけている。それでもようやく8合目まできた。来年の春には何とか世に出せればと思っているがさてどうなることやら(汗)

 

私の本業は弁護士業だから、執筆活動は、執務を終えた後の夜遅くや週末に行わざるをえない。これまで寸暇を惜しんで筆を進めてきたが、今回の書籍で取り組むテーマの奥深さゆえに、終わりが見えず執筆を引き受けたことを後悔したこともあった。しかしゴールにたどり着かなければこのしんどい生活は終わらない。ここまできたら最後までやるしかないと気持ちを奮い立たせて毎夜机に向かう。

 

法律書を書くということは、説明の対象となる法律に関係する無数の情報を収集し、自ら咀嚼した上で、それを取捨選択し、体系的に整理して、読者にわかりやすく表現することである。事務所の執務室にある私の机は、今回の執筆のために読み込んだ書籍や資料の山に囲まれている。我ながら、この2年間よく勉強した。新しい書籍が無事刊行されたら旅に出たいと思っている。

荒巻 慶士

UPDATE
2021.09.21

その他

スープ

 涼しくなり、温かいものを口にしたくなる日も増えてきた。

 よくランチに訪れるイタリアンの店では、パスタと一緒にサラダかスープを出してくれる。以前からスープ派なのだが、その日は一層スープをおいしく感じたので、柔らかな滋味はどこから来るのか、思い切って尋ねてみた。

 イタリア人のシェフは、イタリア語でも英語でもなく、「トリのモモです、骨付きの」と流暢に答えてくれた。

 

 そこで、思い立って、この連休に食材を買いに行き、野菜たっぷりで身体にやさしい、このスープの再現に挑むことにした。

 骨付きのモモ肉がなかったので、手羽元で代用。野菜は小さく刻み、玉ねぎ、人参、ズッキーニをじっくり炒め、大根、ブロッコリー、しめじと合わせて煮込んだ。

 

 ネット上のレシピの力も借りて出来上がったその味は、馴染みの店の味とは少し違った。それでも、スプーンを口に運ぶと、豊かなうま味が広がった。

 家族もおかわり、と好評で、鍋いっぱいに作ったが、あらかたなくなった。

 秋の始まりにふさわしい一日だった。

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