荒巻 慶士

UPDATE
2020.01.06

その他

保釈中の被告人の逃亡

年末年始は大きなニュースが続いた。 

考えさせられたのは、カルロス・ゴーン氏の海外逃亡と米国によるイラン革命防衛隊司令官の殺害の報道だ。

 

 司法に関わる者からみると、ゴーン氏の国外脱出というのは実に恥辱的で、弁護人は絶対に逃げないと大見得を切って保釈を勝ち取ったのだろうから、穴があったら入りたいという気持ちだろうと思う。逃げないと約束すると言われて手を放したら走り出したというようなマンガみたいな話だ。

 

 ゴーン氏は、正義から逃げたのではない、不正義から逃れたのだという。弁護人が依頼者に対し、日本の刑事制度はおかしいと力説したことは想像に難くない。刑事手続になじみのない外国人が、身柄拘束下において唯一自由に会うことのできるその世界のプロから、そのような話を何度も聞いて不正義だと認識を強めて、それが逃亡の口実となったのではないかと考えると、非常に残念なことだ。

 日本の刑事司法が世界的な広がりをもって議論されているのも、この国が新たな時代を迎えていることを示すものだろう。例えば、取調べに弁護人の同席を許さないというのは、欧米からみると常識に反することになる。グローバル社会の中で、その正当性を堂々と主張できるのか、そういう検証が必要だと思う。

 

 もう一つのニュース、米国による暗殺だが、戦争の端緒となりうるものだ。戦争は殺人を合法化するとはよく耳にする。もう少し考えると、戦争にも正当化される場合と正当化されない場合があるはずだ。しかし、それを判断するための制度は十分ではない。

ページトップ