荒巻 慶士

UPDATE
2022.09.20

その他

依頼者とともに

 コロナ禍をまたぎ、第一審、第二審と長く続いた訴訟について、このほど高等裁判所の判決の言渡しがあった。雇止めをめぐる労働事件で、使用者側の代理人として審理を担当した。

 結果は、幸いにして勝訴だった。

 

 事実関係、その法的な評価ともに、全面的に主張が対立する中で、書面は長大となり、証拠も膨大になった。地方裁判所で行われた証人尋問では、訴えを提起した本人含めて、上司・同僚ら、社員5名が法廷に立つなど、〝フルコース〟の展開となった。

 

 訴訟において、審理の状況次第で、代理人としてなすべきことが多くなることは当然だが、依頼者の負担も大きくなる。相手方の主張に応じて、本人、会社の場合は担当者、さらに担当者を通じ関係者において、新たな調査の必要が生じたり、証拠探しをお願いすることになる。

 事件を組み立てて進めるのは弁護士の仕事だが、これを支える協力がなければ、的確で、効果的な主張・立証は困難だ。

 

 振り返ると、依頼者と意思疎通が図れ、歩調の合った事件は、首尾よく進んだことが多い。残念ながら、その逆のケースもある。

 改めて、依頼者との協働関係の大切さを認識している。

荒巻 慶士

UPDATE
2022.07.27

その他

趣味か仕事か

 若いころは趣味を仕事にしたいと、一生懸命考えていた。

 音楽もその一つ。中学生のころドラムを始めて、バンドを組み、高校、大学とロック三昧の日々だった。好きなことを仕事にしたいというのは自然なことだし、大切なことだと思うが、職業となった途端に〝苦行(業)〟が始まるようでもある。

 

 今、時間を見つけて取り組んでいるのはゴルフ。なかなか上達しないが、時に飛び出す好ショットの快感は忘れがたく、四季折々の自然に触れられるし、コロナの時代に同伴者と一日を過ごせるのは素晴らしい。

 ところが、心を浮き立たせるスポーツも、もし自身に才能があってプロのプレーヤーだったなら、成績、ケガ…絶え間ない重圧・負荷に晒されるだろう。

 

 弁護士の仕事を楽しんでいるが、職業たるがゆえの厳しさは避けられない。逆に、趣味は趣味として広がる豊かさがある。

 近ごろ、以前所属した事務所の大先輩弁護士、庭山正一郎先生から、撮りためた写真をブログに公開したとの知らせをいただいた。ウェブページには、多忙な業務の傍ら、カメラに収めた世界の伸びやかさと充実ぶりがあふれていた。

 

荒巻 慶士

UPDATE
2022.05.24

その他

住む場所を変える

 最近、転居をした。近くではあるが、荷物をまとめ、部屋をきれいにし、家具を整え、箱を開いて、収納することには、相当な労力を要することを改めて認識した。住所変更に伴う諸手続はまだまだ終わっていない。

 

 慣れているはずだがと思い返すと、これまで引っ越しの回数は20を軽く超えている。それぞれ相応の理由はあるが、生活をリセットしたくなるところもある。本や書類、衣類や食器、身の回りの品々を手に、処分・整理を決めて、身軽になると、気分も変わる。新たなことがしたくなってくるものだ。

 

 転がる石のように転々と、場所に囚われない生き方も悪くないと思い、あこがれたこともある。見慣れない景色、未だ知らない文化と出会う生き方。海外において実際に、そんなライフスタイルを貫いている人もあると聞く。その自由な視界には、どんな地平が広がっているかと思ったりする。

 

 目を転じれば、天災や戦争で意思に反して住み慣れた場所を離れなければならない人がいる。望郷を胸にした新たな生活が、未来を展望できるものであってほしいと願う。

ページトップ