後藤 慎吾

UPDATE
2020.12.24

その他

喉元過ぎても

2020年はコロナ禍に終始した1年でした。去年の年末に、今年起こった出来事を誰が予想したでしょうか。しかし、これまでの人類の歴史の中でパンデミックは何度も発生したのであり、その可能性が常に存在していたことも事実なのです。

 

喉元過ぎれば熱さを忘れる、ということわざがあります。苦しいこともそれが過ぎ去ってしまえば簡単に忘れてしまうという人間の習性を言い表したものです。私たちは、東日本大震災がもたらした惨禍を目の当たりにしましたが、再び日常が取り戻されると、あの時に感じた地震や津波への危機感は徐々に薄らいでいるように思います。また、戦争の捉え方についても、それを実際に経験しない世代が増えていくにつれて変化が生じているように感じます。

 

いずれ人類がコロナに打ち勝ったと宣言する日が来るのでしょう。しかし、そこで「熱さ」を忘れてはならない。また新たな危機が必ず来ると心にとめてそれに備えることの重要性を世界が認識し続けることが肝要なのだと思います。

 

2021年は反転攻勢の年にしたいですね。このコラムを読んでいただいたすべての方に幸多からんことを祈念しております。

荒巻 慶士

UPDATE
2020.11.24

最近の法律関係情報

非正規格差に関する最高裁判決

 先月13日と15日に、雇用の非正規格差をめぐる最高裁判決が相次いで出された。結論をまとめると、退職金と賞与の不支給は不合理ではない、年末年始勤務手当、夏期・冬期休暇、年始勤務の祝日給、扶養手当の格差は不合理といったものである。しかし、結論だけを一般化するのは短絡的だ。

 

 重要なことは、判決を導いた考え方を理解することだ。

 これは、賃金の支払いや休暇の付与の趣旨・目的と働き方について整合性を個別に見ていくもので、その会社、その社員について具体的に検討される。私傷病欠勤についての有給・無給の差異について、13日の判決と15日の判決で合理性の判断が分かれたのも、一方は長期雇用が前提とされていない、他方は相応に継続的な勤務が見込まれていると判断されたためと考えられる。

 

 待遇差を検討するに当たっては、賃金や休暇などの待遇について、なぜそのような待遇をするのかを改めて問い直し、さまざまな働き方をしている社員それぞれに妥当するかどうかを吟味することが大切だ。

 そして、待遇の差異についての合理性が確かなものであるかどうかは、その検討結果について、それぞれの社員にわかりやすく説明できるかどうかにより、確認できると思う。

 

後藤 慎吾

UPDATE
2020.10.26

その他

高校生たちとの対話

先月、弁護士会の活動で、府中西高校と小金井北高校で模擬立法の授業を担当しました。

 

民法の成人年齢や少年法の実名報道の問題を取り上げて、現行法の内容を前提として、それをよりよくするためにどのような法律の改正を行うのが良いかについて生徒たちに議論してもらい、その結果を発表し、最後に投票でクラスの意見をまとめるというものです。

 

多様な価値観を有する人々の集合である社会がそこに存在する課題を解決するためには、人々が知恵を持ち寄り、議論を尽くしたうえで、より良い解決策を選び、それを実行することが必要になります。生徒たちも今回の授業を通じてそのような社会課題の解決のあり方について理解を深めてくれたのではないかと思います。

 

私にとっても、将来わが国を背負って立つ若者たちの考えを知ることができ、とても有意義な経験でした。またどこかの学校で生徒たちと対話する機会を持てればと願っています。

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