後藤 慎吾

UPDATE
2016.10.24

その他

General & Special

 2か月前のコラムで、プロ向けファンドに関する法規制の執筆をしていると書きましたが・・・未だ終わってません(汗)。ファンドの分野は弁護士登録以来携わってきたので、当初は、2か月もあれば書き終わるだろうと思っていたのですが、これまでに刊行された書籍や論文、パブリックコメントで示された金融当局の考え方などを改めて丹念に読み込んでいると、いつの間にか空が白んでいたりして。ここまで根を詰めて学究的に打ち込むのは3年前のNY州の司法試験の受験のとき以来です。

 

 ところで、お客様と初めてお会いするときなどに、「専門は何ですか?」と聞かれることがあります。そんなときには「会社関係の仕事が多いです。」と答えるようにしています。企業の法律顧問としての仕事をすることが多いので、顧問先の商取引の交渉、資金調達、知的財産、人事労務、紛争処理など様々な種類のご依頼を頂いています。ですので、このようなざっくりとした回答がわかりやすいのだろうと思いますし、いざとなったらうちの会社には後藤弁護士がいるから安心だ、といっていただけるような、企業を取り巻く法的問題全般について対処できる弁護士になりたい、と考えています。

 

 また、会社関係の仕事の中で「特に関心のある分野は何ですか?」と聞かれたときには、コンプライアンス・ファンド・ベンチャーの3つの分野を答えています。それぞれの分野について自分なりに熱い想いがあるのですが、これを書き出すと長くなるのでまた今度の機会にしたいと思いますが、弁護士登録以来取り組んできた仕事の内容や沸々と湧き上がる自分の知的好奇心に鑑みて、この3つの分野で更に研鑽を積んでいきたいと考えています。

 

 GeneralとSpecialは決して相克するものではありません。Generalの土台の上にSpecialなものを作っていくこと。どのような職業分野でも求められるものは同じなのだと思います。太宰治は富嶽百景の冒頭で「実際の富士は、鈍角も鈍角、のろくさと拡がり、東西、百二十四度、南北は百十七度、決して、秀抜の、すらと高い山ではない。」と書いています。新幹線で関西方面に行くときに眼前に広がる富士を見ると、私の理想とする弁護士像をそこに見る思いがするのです。

 

 独立した当初は、独立して時間に余裕ができるかな、と思っていたのですが、日々の仕事や事務所の運営、法律分野での自己研鑽等々と、なかなかそういうわけにもいかず、1日って24時間しかないのか、と改めて認識する毎日です。いろいろとやりたいことの構想はあるのですが、それを深く考える時間も未だ取れず、それもこれもまずは本を書き上げないとな、というわけでまた執筆活動に戻る秋の夜長なのでした。

荒巻 慶士

UPDATE
2016.09.30

その他

「プロ・ネットワーク」構築の大切さ

 先日、弁理士の布川俊幸さんと食事をご一緒する機会がありました。布川さんは、我が事務所の後藤弁護士と地元が同じで、地域のお祭りで共にお神輿を担ぐ仲です。

 布川さんは、遊技機の制御プログラムについて特許の申請を数多く手掛けていらっしゃるとのこと。特許として認められるため、プログラムのどういう点に着目して申請したらよいか、経験を積み重ね、ノウハウを蓄積されているそうです。権利を保有することは模倣に対する防御になるとともに、だれかが何らかの形で権利に関わる部分を利用するに至れば、思わぬ利益を生み出すことになるといった、大変興味深いお話を聞くことができました。

 弁護士は法に関わって仕事をしますが、法の守備範囲は広範で、特許法など知的財産法も法律であり、弁護士が取り扱いうるものです。税法も同様で、弁護士法にも、弁護士は弁理士や税理士の事務を行うことができるとの定めがあります。しかし、布川さんが携わっているような専門性の高い業務を弁護士が行うことはあまり考えられません。多種多様な課税の実務にあって、例えば申告業務の細部を弁護士がお手伝いすることも現実的ではありません。

 ところが、通常弁護士が担当しない業務分野であっても、紛争化したり、権利行使が必要になるような場面では、訴訟など裁判実務に精通した弁護士が力を発揮します。

 最近は、何事も専門化が顕著で、より深く高度な知識・経験に対するニーズが高まっています。そうすると、すべてを自前で自足するのは無理であり、プロ同士の連携が重要であって、それが依頼者の利益につながります。

 また、デパートのように、一つの組織であらゆるニーズに応えることは理想ではありますが、これだけ専門性を要求される分野が広くなり、しかも高度なノウハウが求められるようになると、予めすべてを取り揃えておくことは難しく、無駄ともいえます。具体的な状況を踏まえ、必要に応じて、プロが結集して問題解決に当たる方が、はるかに合理的です。

 知的財産や税務以外にも、会計、登記、保険、医師、不動産鑑定、宅建業などなど、連携すべき専門家はたくさんいます。案件ごとに、さまざまなメンバーが出入りして、緊密に連携してチームとして力を発揮する。チームの力量が依頼者の利益に直結することを考えると、日ごろから、やる気、実力ともに充実したプロたちとのネットワークを広げていきたいと考えています。我はと思われる方はぜひ一緒に良い仕事をさせていただけたらと願っています。

後藤 慎吾

UPDATE
2016.08.18

企業法務関連情報

ベンチャー・エコシステムの創造に向けて

 日々皆様からいただくご相談の合間を縫って、適格機関投資家等特例業務、いわゆるプロ向けファンドの法規制に関する執筆をしています。来年初めの発刊を目指していますが、まとまった時間がなかなかとれず遅々として進まず・・・さてどうなることやら。

 

 プロ向けファンドに関する法規制は、これまではある意味で「真空状態」ともいえる状況でしたが、投資者被害が相次いだことを受け、今年の3月に厳格化され、例えばプロ向けファンドに出資できる投資家の範囲が限定されました。そんな中で、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドについては特例的に出資可能な投資家の範囲が広げられています。これは、VCが持っている、ベンチャー企業への成長資金の供給源としての役割を阻害しないことへの配慮に基づくものであり、ベンチャーの創出・育成を重要政策課題とする現政権のVCへの期待の表れということができます。

 

 私が留学時代を過ごしたカリフォルニア州バークレーは、多くの有力ベンチャー企業を輩出してきたシリコンバレーから車で1時間くらいのところにあります。私は留学中何度もシリコンバレーを訪れましたが、いつもからっとしたこの地の気候は自由な発想を持つのにはいいかもな、と思った以外には、シリコンバレーという街の風景や雰囲気自体には特にこれといった印象はありません。それにもかかわらず、何故シリコンバレーが世界を一新するような革新的なイノベーションを生み続けているのか。それは、この街には人・事業・お金が有機的・効率的に結びつくエコシステムが確立しているからなのだと思います。

 

 わたしたちの事務所は、ベンチャー・創業支援を業務の柱の一つとしています。それは、ベンチャー企業が提供するイノベーションにアドバイザーとして参画することで、世の中をよりよくすることの一助となることに大きな魅力を感じ、また、そこで働く人々とビジョンを共有し、目標を達成することで共に成長する実感を持つことができるからです。今も多くのベンチャー企業とお付き合いをさせて頂く中で、社会を変えるかもしれない新しい事業に関与できる喜びを感じています。

 

 少子高齢化が進む我が国において、インパクトのある新事業を創出し、世界で伍していくことができるベンチャー企業が多く誕生することが求められています。そのためにはシリコンバレーにあるようなエコシステムの構築が急務です。わたしたちの事務所がこれまでに培ってきた知見を活かし、その一翼を担えればと願っています。

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