荒巻 慶士

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2025.07.21

その他

参院選の後で

 随分前のことになる。ある大学の政治学科を受験したときのことだ。

 面接で、今の政治で最も問題だと考えることは何か、と聞かれた。選挙の投票率が低いことだと答えたら、あまり関心がないということは、政治が相応にうまく行っているからではないか、と面接官に返された。それでも政治への関心が低いのは問題だと思うと答えた。うまく答えられなかったなと思い出す。今ならどう答えるだろうか。

 

 参議院選挙が終わった。投票率は57、58パーセントだという。投票していない人がみな投票したならば、結果は大きく変わり得る。入試面接で低投票率を嘆いたもの、投票先に困ったまま、棄権寸前で投票会場に足を運ぶのは、あれから数十年が経った今の姿ではある。

 

 国際情勢は激しいうねりを見せている。煽りを受けて、国内の状況も安定しない。

 ポピュリズムの台頭、排他主義、自国中心主義、司法の軽視、戦争と安易な武力行使…、これまで築いてきた価値の綻びが目立っている。

 

 個人の尊厳に最大の重きを置き、先の戦争を教訓に据えられた、自由主義、民主主義、平和主義という日本国憲法の3原則、その統治システムとしての法の支配は、歴史の試練に耐えている。その価値観を守りたい。

 

 身の回りのことに汲々として、大きなところで自身と家族の生活を掘り崩されないように、政治への関心を持ち続けたい。目先の利益や甘言ではなく、時代の評価に耐える政策を語る代表者を、見極める目を持ちたいと思う。

後藤 慎吾

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2025.06.17

その他

彼岸過迄 

久しぶりに夏目漱石の「彼岸過迄を読んだ。漱石は、「彼岸過迄に就て彼岸過迄』というのは元日から始めて、彼岸過迄書く予定だから単にそう名づけたまでに過ぎない実は空しい標題である。と述べている。同作品は、明治45年1月2日から4月29日まで朝日新聞で連載された。 

 

お彼岸は、春分日(春分の日)と秋分日(秋分の日)を中日とする前後3日間の合計7日間の期間をいう。明治45年の春分日は3月21日だったそうだが、「彼岸過迄」の連載終了は4月29日であるから、思いのほか筆が進んで想定以上のボリュームになったのであろうか。 

 

ところで、私も今、執筆に取り組んでいる。私がこれまで上梓した書籍はいずれも専門書だったが、今回は一般の方向けの法律入門書だ。原稿の締切りが秋のお彼岸が過ぎた今年の9月末に設定されているので、漱石に敬意を表して、この書籍の標題も「彼岸過迄」にしようかなどと考えている。 

荒巻 慶士

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2025.05.27

その他

爽快な5月はどこへ

 5月は一年のうちで最も好きな月だ。

 連休のころには、爽やかな日が続き、不愉快なこともどこかへ去って忘れているようなことだった。

 

 いつからか(4、5年前か)、この時期に、蒸し暑さがちょいちょい顔をのぞかせ、おかしな風が吹くし、横殴りの雨が降ったり、止んだりする。今から、夏の暑さが思いやられる。(昨年の夏はひどかった。)

 暑い盛りでも、空調なしで眠れる夜があったのだ。

 

 自然科学に知見のある者は、私たちを取り巻く気候は変わったのだと言い切り、この現実を受け入れなければならないという。実感を伴うようになり、その言葉は鋭く刺さる。

 変動の原因については、専門的な分析・研究がすでになされていて、真摯な取り組みが必要であることを思い知らされる。

 

 紛争、戦争の報道に触れない日はないが、国同士がいがみあっている場合ではない。(当事地域に暮らす人たちは、だれも望んでいない。)

 

 

 

 

 

 

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